ボートダイビングに挑戦したいけれど、「ボートSPまで取る必要はあるの?」「通常のファンダイビングだけではだめ?」と迷っていませんか。
結論からいうと、PADIボート・ダイバー・スペシャルティ(以下、ボートSP)は、すべてのダイバーに必須の資格ではありません。
一方で、経験本数が少なく、船上での準備やエントリー・エキジットに不安がある人には、インストラクターの指導を受けながら練習できる価値があります。
私はダイブ本数8本目の初心者だった11月に、逗子港でボートSPを受講しました。バックロールエントリー自体は問題なくできましたが、狭い船上での器材セッティング、フィンの装着、耳抜き、ドライスーツでの中性浮力など、実際にやってみなければ分からない難しさを多く経験しました。
この記事では、沖合の海中環境や魚を見られるようになりたいと思って受講した私が、できたことだけでなく、失敗したことも含めて正直に紹介します。
私が逗子港で受講したボートSPの概要
| 項目 | 実際の受講内容 |
|---|---|
| 受講場所 | 逗子港 |
| 受講時期 | 11月 |
| 受講時点のダイブ本数 | 8本目 |
| 支払総額 | 25,000円 |
| 当日の時間 | 6:30集合・16:00解散(約9時間30分) |
| 海洋実習 | 1日2ダイブ |
| 潜降方法 | 潜降ラインを使用 |
| SMB | 講習の一環として実際に使用 |
私が支払った金額は総額25,000円でした。ただし、講習料、ボート乗船料、教材費、認定申請料、レンタル料などの詳しい内訳は記録していません。この記事の金額は、あくまで私が受講したときの実例として参考にしてください。
集合から解散までは約9時間30分でしたが、この時間すべてを潜っていたわけではありません。器材準備、移動、ブリーフィング、休憩、片付けなどを含む1日全体の所要時間です。
ボートSPを受講した理由
受講した一番の理由は、ビーチからでは行きにくい沖合で、魚や海中環境を見てみたかったからです。今後のダイビングで潜れるポイントの選択肢を増やしたいと考えていました。
同時に、ダイブ本数がまだ少ないうちに、船上での動き方やエントリー、潜降、浮上の基本をインストラクターから学び、スキルアップしたいという目的もありました。
PADIボート・ダイバー・スペシャルティとは
ボートSPは、ボートから安全かつスムーズにダイビングするための知識と基本動作を学ぶPADIのスペシャルティ・コースです。
PADI公式では、10歳以上で、PADI(ジュニア)オープン・ウォーター・ダイバー以上、または他団体の同等資格を持つ人が参加対象とされています。
講習ではインストラクターと2ダイブを行い、船で使われる用語やマナーを学びます。海況や使用する船、講習内容によっては、潜降・浮上用のラインを使ったり、サーフェス・マーカー・ブイ(SMB)を展開したりすることもあります。
私が逗子港で受けた講習では、フリーフォールではなく潜降ラインを使って潜降しました。また、講習の一環としてSMBも実際に使用しました。説明を聞くだけでなく、水中で器材を扱うところまで経験できたのは実践的だったと感じます。
ただし、船の大きさや構造、エントリー方法、器材を置けるスペースはショップやポイントによって異なります。そのため、認定を取得した後も、毎回のボートブリーフィングをよく聞くことが大切です。
参考:PADI公式「ボート・ダイバー・スペシャルティ・コース」
ボートSPは必要?受講した私の結論
私の結論は、資格そのものが必須というより、初心者がボートダイビングの段取りを安全に練習する機会として役立つというものです。
通常のボートファンダイビングでも、ショップのスタッフがエントリー方法や船上のルールを説明してくれます。そのため、ボートSPを持っていないと一切ボートダイビングができないわけではありません。実際の参加条件は、ショップ、海況、ポイント、経験本数によって異なるので、予約前に確認が必要です。
一方、初心者は水中だけでなく、船上でも考えることが多くなります。
- 限られたスペースで器材を組み立てる
- 自分の器材を安全に固定する
- 船の揺れに対応しながら装備する
- スタッフの合図に合わせてエントリーする
- 浮上後に船へ近づき、安全に上がる
- ほかのダイバーの動線をふさがない
私はこれらを同時に行おうとして、かなり慌てました。だからこそ、失敗してもインストラクターからその場で助言をもらえる講習には意味があったと感じています。
ボートSPで学ぶ主な内容
実際の講習内容はショップや使用する船によって変わりますが、一般的には次のような流れで進みます。
- 教材やブリーフィングで船の用語、マナー、安全設備を確認する
- 船上で器材の置き場所と固定方法を確認する
- 船に合ったエントリー方法とエキジット方法を練習する
- ラインを使った潜降・浮上や水面での集合方法を確認する
- 2ダイブを通じて、より安全で無駄の少ない動きを身につける
私が特に重要だと感じたのは、エントリーの形だけを覚えることではなく、準備から潜降、浮上、船へ戻るまでを一つの流れとして理解することでした。
ボートでは自分だけのペースで動けるとは限りません。出航時間やエントリー順が決まっており、周囲の準備状況にも合わせる必要があります。早く動くことよりも、必要な物を順番に準備し、忘れ物や器材の引っ掛かりがないよう確認することが大切です。
実際にできたこと:バックロールは怖くなかった
受講前に少し身構えていたのが、船べりに座って後ろ向きに倒れるバックロールエントリーです。
しかし、実際には大きな恐怖感はなく、インストラクターの合図に合わせてスムーズに入水できました。マスクとレギュレーターを押さえ、周囲を確認してから入るという手順を落ち着いて実行できた点は、自信になりました。
ボートダイビングというと、派手なエントリーだけが注目されがちです。しかし、私が難しいと感じたのはエントリーそのものではなく、その前後の段取りでした。
一番苦労したこと:狭い船上での器材セッティング
もっとも慌てたのは、船上での器材セッティングです。
ビーチダイビングでは地面に器材を広げて準備できますが、船上では使えるスペースが限られます。器材を置く場所、フィンやマスクを準備する順番、ほかのダイバーが通る場所まで考える必要があります。
私はセッティングの順番を十分にイメージできておらず、終始バタついてしまいました。器材を組み立てる知識があっても、揺れる船上で、限られた時間と空間の中で行うと難易度が上がります。
この経験から、次回は次のことを意識したいと考えています。
- 乗船後すぐに、自分のタンクと器材置き場を確認する
- マスク、フィン、曇り止めなどを一か所にまとめる
- エントリー直前に必要な物から逆算して準備する
- 通路やほかの人の器材置き場をふさがない
- 分からないまま進めず、早めにスタッフへ確認する
スピードは経験で上がります。最初から速さを求めるより、確認を省略しないことの方が重要だと感じました。
フィンの装着は「立って頑張る」より安定を優先
船上ではフィンを履く動作にも苦労しました。揺れている状態で片足立ちになると不安定で、器材を背負っているため転倒の危険もあります。
私の場合は、座って装着できる位置を確保し、片足ずつ落ち着いて履く方が安全でした。船の構造やエントリー方法によっては、水面でフィンを履く場合もあります。
「自分はこの方法で履く」と決めつけず、乗船時の説明とスタッフの指示に従うことが大切です。船ごとに最適な方法が違う点も、ボートダイビングの難しさだと思います。
1本目で耳抜きがうまくできず、焦ってしまった
1本目の潜降では、耳抜きがうまくできずに焦りました。
ボートダイビングでは、海底が見えにくい場所をラインに沿って潜降したり、水面の揺れの中で潜降を開始したりすることがあります。周囲についていこうとすると、自分ではゆっくり潜っているつもりでも、耳抜きが間に合わないことがあります。
私は「遅れてはいけない」と考え、余計に慌ててしまいました。しかし、耳に痛みが出ているのに無理に潜降を続けるべきではありません。
次回は、潜降前からこまめに耳抜きを始め、抜けにくければその場で止まるか、少し深度を戻してガイドへ合図します。ガムを噛むと楽になるというアドバイスも受けましたが、効果には個人差があります。ガムだけを頼りにせず、自分に合った耳抜き方法を練習しておくことが重要です。
DAN JAPANの事故事例でも、耳の違和感や痛みがあるときに潜降を続けないことの重要性が示されています。痛みや聞こえ方の異常が残る場合は、ダイビングを中止して医療機関へ相談する判断も必要です。
ウエイト7kgとタンク位置で姿勢が安定しなかった
受講時はドライスーツでウエイト7kgを使用しましたが、私にはやや重かった可能性があります。
必要以上にウエイトが重いと、沈む分を補うためにBCDやドライスーツへ入れる空気が増え、浮力調整が複雑になります。ただし、適正ウエイトは体格、器材、タンクの種類、インナー、海水か淡水かなどで変わります。「次から必ず1kg減らす」と自己判断するのではなく、インストラクターと水面でウエイトチェックを行い、少しずつ調整するつもりです。
もう一つの原因は、タンクの位置でした。1本目はタンクが高く、姿勢を取りづらく感じました。
2本目ではタンク位置を下げたところ、1本目より姿勢が安定しました。わずかな位置の違いでも、頭の後ろにファーストステージが当たったり、重心が変わったりします。
このとき、自分で「なぜ姿勢が取りにくいのか」を考え、2本目で修正できたことは大きな収穫でした。講習の価値は、失敗しないことではなく、失敗の原因をインストラクターと確認し、次のダイブですぐ試せることにあると思います。
ドライスーツとBCDの空気配分が難しかった
今回の講習ではドライスーツを使用したため、BCDとドライスーツの両方を調整する必要がありました。
受講時は、ドライスーツには締め付けを防ぐために必要な分だけ給気し、主な浮力調整はBCDで行う方法を教わりました。これは器材や講習方針によって説明が異なる場合があるため、実際には担当インストラクターの指示に従ってください。
私はドライスーツ内の空気が一部に偏る感覚に慣れておらず、中性浮力の調整を難しく感じました。体の向きをゆっくり変え、スーツ内の空気を移動させる方法も教わりました。
また、インナーにニットを着たのは失敗でした。動きにくく、温度調整もしづらかったため、次回はダイビングショップの案内に合わせて、乾きやすく動きやすい長袖シャツや専用インナーを選びます。
ボートSPとドライスーツの練習が重なると、初心者が処理する情報は増えます。初めてのドライスーツで不安が強い人は、穏やかな環境でドライスーツに慣れてからボート講習を受ける方法も検討できます。
小さな準備不足も船上では焦りにつながる
講習中、マスクの曇り止めの使い方が分からず、準備に手間取りました。
専用の曇り止めは、一般的にレンズ内側へ薄く伸ばし、製品の説明に従ってすすぎます。マスクの材質やコーティングによって使える製品が異なる場合があるため、初めて使うときはショップへ確認するのが確実です。
ビーチでは落ち着いて聞けることでも、出航後は時間やスペースに余裕がない場合があります。曇り止め、マスク、フィン、グローブなど、自分が使う小物は乗船前に使い方まで確認しておくと安心です。
非常時対応は「理解したつもり」で終わらせない
受講後に振り返ると、酸素キットの位置、船上と水面で使う合図、ダイバーを回収する際の流れなど、非常時対応の理解が曖昧な部分が残りました。
普段使わない知識ほど、説明を聞いただけでは定着しません。私は教材やマニュアルを読み直し、次回の乗船時には次の点を必ず確認します。
- 酸素キット、救急用品、浮具の場所
- エントリーとエキジットの合図
- ダイバーが船から離れた場合の集合方法
- 船へ戻る際に近づいてよい方向
- 自分やバディに異常があったときの伝え方
ボートSPを取っただけで、どの船でも迷わず対応できるようになるわけではありません。船ごとに設備と手順が違うからこそ、毎回のブリーフィングを聞き、分からない点を質問する必要があります。
受講後、ダイブコンピューターを早めに持ちたいと感じた
受講を通じて、カメラより先に自分のダイブコンピューターを持ちたいと感じました。
水中でウミウシなどを撮影することにも興味がありますが、まず確認したいのは深度、潜水時間、安全停止、浮上速度などの情報です。レンタル品でも潜れますが、機種によって表示や操作が異なります。自分の機種を継続して使えば、表示の意味や警告に慣れやすく、ログも自分で振り返れます。
ただし、ダイブコンピューターを持てば安全が自動的に保証されるわけではありません。取扱説明書を読み、表示を理解し、ガイドやバディとの確認を続けることが前提です。
ボートSPを受講してよかった点
受講してよかったと感じた点は、次の3つです。
1. 船上から水中までの流れを一度通して経験できた
器材セッティング、装着、エントリー、潜降、浮上、エキジットまでを2ダイブで経験できました。知識だけでは分からない「どこで焦るのか」を確認できたことが大きかったです。
2. 1本目の失敗を2本目で修正できた
特にタンク位置は、1本目の違和感を2本目で修正し、姿勢の変化を体感できました。短い間隔で試せるため、原因と結果が結びつきやすいと感じました。
3. 今後の課題が具体的になった
耳抜き、中性浮力、適正ウエイト、船上での段取り、非常時対応など、次に練習すべきことが明確になりました。「認定を取ったから完成」ではなく、今後のボートダイビングを安全に楽しむためのスタートになりました。
ボートSPをおすすめできる人
実際に受講した経験から、次のような人にはおすすめしやすいと感じます。
- 初めて、または数回目のボートダイビングで不安がある人
- バックロールなどのエントリー方法を指導付きで練習したい人
- 船上での器材配置や動き方を基礎から知りたい人
- 沖縄、離島、海外など、ボート中心のポイントへ行きたい人
- 失敗した原因をインストラクターに見てもらい、すぐ修正したい人
反対に、すでにさまざまな船でボートダイビングを経験し、セッティングからエキジットまで落ち着いて行える人は、優先度が低いかもしれません。
また、当面はビーチダイビングが中心で、予算を別の講習や自分の器材に回したい人も、急いで取得する必要はありません。
受講費用は25,000円|比較するときの確認項目
私が逗子港で受講したときの支払総額は25,000円でした。費用の詳しい内訳は覚えていないため、「ボートSPの講習料が一律25,000円」という意味ではありません。
ボートSPの料金は、ショップや地域、レンタルの有無によって変わります。表示されている講習料だけで判断せず、申込み前に次の費用が含まれているか確認しましょう。
- 講習料
- 2ダイブ分のボート乗船料
- 認定申請料
- 器材・ドライスーツのレンタル料
- 施設使用料、食事、交通費
同じ「ボートSP」でも、総額に含まれる項目が違う場合があります。複数のショップを比べるときは、最終的な支払総額と、講習を受ける人数、使用する船、海況不良時の対応まで確認すると安心です。
よくある質問
ボートSPがないとボートダイビングはできませんか?
ボートSPが一律に必須というわけではありません。参加条件はショップやポイントによって異なり、Cカードのランク、経験本数、最終ダイブからの期間などを確認される場合があります。予約前に利用予定のショップへ確認してください。
初心者でも受講できますか?
PADI公式の参加条件を満たせば受講できます。ただし、海況や使用する船によって難易度は変わります。耳抜きや中性浮力に不安がある場合は、予約時に伝えておくと、適した日程やポイントを相談しやすくなります。
講習にはどのくらい時間がかかりますか?
私の場合は、逗子港に6:30集合、16:00解散で、1日かけて2ダイブを行いました。合計は約9時間30分です。集合時刻や解散時刻は、ショップ、港、海況、移動時間によって変わるため、申込み先へ確認してください。
船酔いが心配でも受講できますか?
受講はできますが、船酔いすると講習へ集中しづらくなります。前日は睡眠を取り、当日は食べ過ぎ・空腹を避け、風通しがよく揺れにくい場所をスタッフへ確認しましょう。酔い止め薬を使う場合は、眠気などの副作用やダイビングとの相性を医師・薬剤師へ確認してください。
ボートSPを取れば、どの船でも同じように潜れますか?
船によってエントリー方法、器材置き場、はしご、潜降方法が異なります。認定後も、その日の船と海況に合わせたブリーフィングを聞く必要があります。
まとめ:ボートSPは初心者が失敗と改善を経験する講習
PADIボートSPは、すべての人に必須の資格ではありません。
しかし、ダイブ本数8本目だった私にとっては、逗子港で船上の器材セッティングからエントリー、潜降、浮上、エキジットまでを、インストラクターの指導のもとで経験できる有意義な講習でした。
バックロールエントリーは問題なくできた一方で、船上では慌て、耳抜きや中性浮力にも苦戦しました。1本目ではタンク位置が高く姿勢を取りづらかったものの、2本目で位置を修正し、改善を実感できました。
受講して一番よかったのは、「ボートダイビングができる」という自信だけでなく、自分に足りないものが具体的に分かったことです。
これからボートダイビングへ挑戦したい初心者で、船上の動きやエントリーに不安があるなら、ボートSPは検討する価値があります。私のように沖合の魚や海中環境を見たい人にとっても、行けるポイントを広げるための第一歩になります。資格を増やすことだけを目的にせず、どのような船で何を練習できるのかをショップへ確認してから選ぶのがおすすめです。
