ダイビング中、耳抜きができないと一気に焦ります。
私もダイビングを始めたばかりの頃、水深5m付近で両耳が抜けなくなり、顎まで響くような痛みを感じたことがあります。
周りのダイバーは先に潜っていくため、「早く追いつかないと」と焦り、何度も強く耳抜きをしてしまいました。
今振り返ると、一番よくなかったのは、痛みが出ているのに無理をして潜ろうとしたことです。
現在は約18本潜っています。まだ経験豊富とはいえませんが、事前にガムを噛んで顎を動かしたり、潜降中にこまめな耳抜きをしたりすることで、以前より落ち着いて潜れるようになりました。
この記事では、耳抜きができなかったときの実体験と、その後に試している対策を紹介します。
※この記事は、私自身の体験をもとに書いています。耳の痛みや聞こえにくさなどが残った場合は、無理に潜らず医療機関へ相談してください。
水深5m付近で両耳が痛くなった
このトラブルが起きたのは、11月に逗子港から参加したボートダイビングでした。
当時の経験本数は8本ほど。前回のダイビングから約5か月空いており、ボートダイビングに参加するのも初めてでした。
久しぶりのダイビングだったことに加え、慣れない船上での準備やエントリーもあり、普段より緊張していたと思います。
潜降するときは、水深4m付近まで潜降ロープを使い、その後はロープから手を離してフリー潜降に移りました。
異変を感じたのは、水深5mを過ぎたあたりです。
両耳がうまく抜けなくなり、鼓膜が内側へ押されているような圧迫感が出てきました。さらに潜ろうとすると、顎の方まで響くような鋭い痛みに変わりました。
焦って強く耳抜きをしてしまった
当時行っていたのは、鼻をつまんで息を送る一般的なバルサルバ法です。
耳が痛くなった私は、インストラクターに耳抜きができないことを合図しました。
ただ、「ほかの人を待たせたら申し訳ない」という気持ちもあり、何度も強く耳抜きをしてしまいました。
これが、私の失敗だったと思います。
インストラクターに見てもらいながら少し浮上し、耳の痛みが弱くなったところで、耳抜きをしながら何度か潜降をやり直しました。
耳抜きができないときは、無理に深く潜ろうとせず、一度止まることが大切です。少し浮上するだけでも耳にかかる圧力が弱まり、耳抜きしやすくなる場合があります。
PADI公式サイトでも、耳が抜けにくい場合は潜降を止め、バディに合図して少し浮上することが案内されています。
耳抜きができなかった原因を振り返る
今回のトラブルには、一つではなく、いくつかの原因が重なっていたと思います。
潜降速度に耳抜きが追いついていなかった
ロープを離れてフリー潜降へ移ったあと、自分が思っていたより速く潜っていた可能性があります。
当時は、耳に違和感が出てから耳抜きをしていました。しかし、違和感や痛みが出てからでは、すでに耳の内側と外側の圧力差が大きくなっています。
耳抜きは「痛くなったら行う」のではなく、痛くなる前から始める必要があると実感しました。
久しぶりのダイビングで緊張していた
この日は5か月ぶりのダイビングで、初めてのボートダイビングでもありました。
器材の準備やエントリーに気を取られ、潜降中も体に力が入っていたと思います。
さらに、周りに遅れたくないという焦りもあり、自分の耳の状態より、ほかのダイバーの動きを気にしてしまっていました。
強く耳抜きすれば抜けると思っていた
耳が抜けないと、つい力を入れたくなります。
私も「もっと強く息を送れば抜けるかもしれない」と思い、バルサルバ法を何度も繰り返しました。
しかし、DAN(Divers Alert Network)では、バルサルバ法を強く行うことによる耳への負担について注意を促しています。
力任せに耳抜きをするのではなく、抜けなければ潜降を止める。その判断の方が大切です。
ベテランダイバーに教わった「ガムを噛む方法」
その後、ベテランダイバーから「潜る前にガムを噛んでみたら」と教えてもらい、ガムを分けてもらいました。
現在は、ダイビングの日にハード系のガムを噛むようにしています。
自宅を出てから港へ着くまでの移動中にガムを噛み、船に乗る前には口から出します。
ガムを噛んで顎を動かしておくと、私の場合は顎まわりがほぐれ、喉や顎を動かしやすくなる感覚があります。
以前は朝一番のダイビングで耳が抜けにくいことがありましたが、ガムを噛むようになってからは、1本目でも耳抜きがしやすくなりました。
もちろん、ガムを噛めば必ず耳抜きができるとは限りません。あくまで私自身が効果を感じている準備方法の一つです。
また、水中でガムを噛むのは危険です。レギュレーターをくわえる前に、必ず口から出します。
潜る前にガムを噛む方法については、PADI公式サイトの耳抜き解説でも紹介されています。
現在行っている耳抜き対策
現在は、ガムだけに頼らず、潜降の仕方も見直しています。
移動中にガムを噛んで顎を動かす
ダイビングへ向かう移動中にハード系のガムを噛み、顎まわりを動かしておきます。
私は朝一番に耳が抜けにくいことがあるため、準備運動のような感覚で続けています。
水面から耳抜きを始める
以前は、耳に違和感が出てから耳抜きをしていました。
現在は、水面や潜降開始直後から耳抜きを始めています。痛みが出るのを待たず、早めに行うことを意識しています。
潜降中はこまめに耳抜きする
私は潜降速度に耳抜きが追いつかなくなることがあるため、少し潜るたびに耳抜きをしています。
「ずっと強く息を送り続ける」という意味ではありません。圧力差が大きくなる前に、軽い耳抜きを何度も行うイメージです。
不安なときは潜降ロープを使う
潜降ロープを持っていれば、自分の位置や潜降速度を調整しやすくなります。
耳が抜けなければその場で止まり、必要に応じて少し浮上することもできます。
耳抜きに不安がある場合は、潜る前にインストラクターへ伝えておくと安心です。
バルサルバ法以外も試してみる
耳抜きには、鼻をつまんで息を送るバルサルバ法以外にも方法があります。
- トインビー法:鼻をつまんだ状態で唾を飲み込む
- フレンゼル法:鼻をつまみ、喉を閉じて舌の奥を使う
- 顎を前に出す、あくびをするように喉を動かす
私のようにバルサルバ法だけで焦ってしまうより、ほかの方法があることを知っておくだけでも余裕が生まれます。
ただし、自己流で無理に行うのではなく、分からない場合はインストラクターに教えてもらうのが安全です。
痛みが残った場合は無理をしない
私の場合は、ダイビング後に耳の痛みや詰まり、聞こえにくさ、耳鳴り、めまいなどは残りませんでした。
ただし、ダイビング後も耳の痛みや聞こえ方の違和感が続く場合は、次のダイビングを控えた方がよいでしょう。
DANの中耳圧外傷に関する解説でも、耳抜きがうまくできないまま潜ることで、耳を傷める可能性があると説明されています。
風邪や鼻詰まりなどで地上でも耳が抜けにくい日は、無理に潜らないことも大切です。
症状が続く場合は自己判断で済ませず、耳鼻咽喉科などの医療機関へ相談してください。
まとめ|周りを待たせても、安全の方が大切
初めて耳抜きができなくなったとき、私は周りに遅れることばかり気にしていました。
しかし、そこで無理をして耳を傷めてしまっては、せっかくのダイビングを楽しめません。
現在は、移動中にガムを噛んで顎を動かし、潜降を始めたら痛くなる前からこまめに耳抜きをしています。
それでも抜けないときは、潜降を止めて少し浮上する。自分だけで解決しようとせず、インストラクターに伝える。この二つを意識しています。
バルサルバ法でうまく抜けない場合も、フレンゼル法やトインビー法など、耳抜きにはほかの方法があります。
周りより時間がかかっても、焦る必要はありません。
「何とかして潜らなければ」と考えるより、自分の耳の状態を優先する。これが、実際に耳抜きで失敗した私が一番伝えたいことです。
