本栖湖で高所潜水SPを受けて、私は湖で潜る楽しさをはじめて知りました。印象に残ったのは、薄暗い水中に広がる沈木と、水草が揺れる静かな景色です。海が花畑なら、湖は盆栽。そんな違いを感じた2本でした。一方で、泥を巻き上げない泳ぎ方や、急に冷たくなる水への対応には、まだ慣れないところもありました。今回で通算19・20本目、記録している支払いは講習料・申請料・ツアー代を合わせて42,130円です。この記事では、潜った2か所の様子と、高所潜水で確認したこと、費用の内訳を振り返ります。
ブラックバスを見たくて、本栖湖の高所潜水SPへ
今回、本栖湖へ行った一番の理由は、湖で潜ってみたかったからです。中でも楽しみにしていたのはブラックバスでした。釣りの対象としては知っている魚を、水中からどう見えるのか確かめたいと思っていました。
そんなきっかけで参加したのが、PADIのアルティチュード・ダイバー・スペシャルティ、通称・高所潜水SPです。湖に潜りたい気持ちが先にあって、そのために必要な知識を学ぶ、という順番で申し込みました。
5月以来のダイビングで、初めての湖に挑戦
前回潜ったのは5月でした。今回は通算19・20本目にあたり、初めての湖に加えて、久しぶりのダイビングでもありました。当日は朝6時30分に東京駅へ集合し、本栖湖へ向かいました。参加した受講生は8人、インストラクターは2人です。
| 項目 | 1本目 | 2本目 |
|---|---|---|
| ポイント | ホーンテッドマンション | スポーツセンター前 |
| 通算本数 | 19本目 | 20本目 |
| 潜水時間 | 約40分 | 約40分 |
| 最大深度 | 18m | 8m |
当日のメモでは、水温はおおむね20〜22℃、透明度は5〜6mほどでした。1本目には、急に水が冷たくなる層もありました。水温や透明度はあくまで当日の記憶とメモによる目安で、本栖湖がいつもこの状態というわけではありません。
潜る前は、初めての場所に対する漠然とした不安がありました。特に気になったのが、ダイブコンピューターの高度設定です。海で使っていた設定を、どこまで変える必要があるのか確認しておきたいと思っていました。
「高所」と「淡水」で変わることは違う
本栖湖のダイビングでは、高い場所にある水面と、塩分を含まない淡水、この2つを別に考える必要があります。
| 違い | 確認すること |
|---|---|
| 高所で、水面の気圧が低い | 高度への順応、潜水計画、ダイブコンピューターの設定 |
| 淡水で、海とは水の性質や環境が違う | 適正ウエイト、水温、湖底の状態、見通し |
本栖湖は標高約900mの場所にあり、現地のダイビングサービスも高所での潜水として案内しています。
今回、本栖湖で意識した違いは2つありました。ひとつは高所で水面の気圧が低いこと。これに対しては、高度への順応や潜水計画、ダイブコンピューターの設定を確認する必要があります。もうひとつは淡水で海とは水の性質や環境が違うこと。こちらは適正ウエイトや水温、湖底の状態、見通しを確認する必要がありました。
私が水中で強く感じたのは、湖の静かな景色と、泥を巻き上げたときの見え方の変化でした。気圧の違いは体感だけで判断せず、潜る前の計画や設定で対応するものだと学びました。
本栖湖で潜った2か所|沈木の森と水草の景色
1本目・ホーンテッドマンションは、薄暗い水中に沈木が広がっていた
ホーンテッドマンションで印象に残ったのは、水中に沈んだ木々でした。枝を残した木が水の中に横たわり、その周囲を泳いでいきます。当日は水中に入る光が少なく、遠くまで明るく見渡せる状態ではありませんでした。その薄暗さも重なって、沈木の集まりには少し不気味な雰囲気がありました。
沈んでいたのは木だけではなく、手漕ぎボートもありました。陸上で見慣れた物が水底にあると、それだけで妙な感じがします。私には、湖の中のモニュメントのように見えました。
最大深度は18m、潜水時間は約40分。途中では急に冷たい水に入り、景色を見ていた意識が寒さへ向く場面もありました。
2本目・スポーツセンター前では、水草の花と大きな沈木を見た
2本目はスポーツセンター前へ。最初は水深5mくらいの浅い場所が続き、水草の群生の中に花を見ることができました。
1本目の沈木がつくる薄暗い景色から、水草の景色へ変わります。同じ湖で続けて潜っても、見る場所によって印象が違いました。
その先には大きな沈木があり、根元の複雑な形や空洞が目に入りました。魚は、こうした木や水中の設置物の近くにいるように感じました。
地形も面白かったです。普段見ている海の岩場とは違い、固まった溶岩を思わせる形がありました。現地サービスのポイント案内でも、スポーツセンター前には沈木と溶岩帯があると紹介されています。富士山の近くで潜っていることを、水中の景色からも感じられました。本栖湖のダイビングポイント案内
海が花畑なら、湖は盆栽。けれどブラックバスは見逃した
私がこれまで潜った海は、魚が動き回り、色もにぎやかでした。花畑を見るような楽しさがあります。
今回の湖は、もっと静かでした。魚の色は控えめで、沈木や水草、そこに積み重なった風景を眺める時間が印象に残っています。例えるなら盆栽でしょうか。派手なものを次々と探すより、木の形や周りの空間を見ていたくなる景色でした。
当日は波や流れをほとんど感じず、波酔いのつらさもありませんでした。潜降も、私には普段よりスムーズに感じられました。ただ、これは今回の状態と私の体感によるものです。
そして、目当てにしていたブラックバスは、残念ながら見られませんでした。
ホザねブラックバスを見たくて来たのに、自分だけ見逃すとは……。
次に本栖湖へ来る理由ができました。
20本目でも苦労したのは、泥を巻き上げない泳ぎ方
景色を楽しみながらも、湖底との距離には気を使いました。今回潜った場所は底に細かい泥があり、巻き上がると急に見通しが悪くなります。水面が穏やかでも、水中での姿勢や足の動かし方まで簡単になるわけではありませんでした。
ドライスーツの感覚を思い出しながら、あおり足を試した
今回はドライスーツで潜りました。久しぶりだったため、浮力を調整する感覚を思い出すまで、少し時間がかかりました。
浮きすぎないように、沈みすぎないように。そのうえで、フィンで湖底の泥を巻き上げないように泳ぎます。
特に気になったのが、バタ足の上下の動きです。湖底に近いところで同じように足を動かすと、泥へ影響しやすいと感じました。そこで、あおり足、いわゆるカエル足も試しています。
まだ、どの場面でも思いどおりに泳げる段階ではありません。今回は「沈まないようにする」ことに加えて、「自分のフィンが後ろや下へどう影響するか」も気になりました。中性浮力で苦労してきた過程は、ダイビングは何本で上手くなる?初心者の上達記録にまとめています。海で少し慣れたつもりでも、環境が変わると新しい課題が見つかるものだと感じました。
仲間が見えなくなるほど、泥で視界が変わる場面があった
同じグループでは、泥が舞って一緒に潜っていた人が迷子になる場面が2回ありました。
私の感覚では、砂を巻き上げたときよりも、細かい泥のほうが長く水中に漂っていました。もともと透明度は5〜6mほどでしたが、泥が広がった部分は、そこまで見える状態ではなくなります。
見えなくなったときに慌てて手足を動かすと、さらに泥を巻き上げてしまう。落ち着いて判断することの難しさを感じた場面でした。



水面が穏やかでも、水中で仲間が見えなくなることが結構あるんです….
初めての場所では、視界を失った場合やバディを見失った場合の対応を、潜る前にインストラクターと確認しておきたいところです。実際の対応は周囲の地形や潜水計画によって変わるため、その場で慌てて自分だけの判断で動かない準備が必要だと思います。
水温20〜22℃でも、冷たい層に入ると寒さが違った
水温の数字以上に印象に残ったのが、1本目のサーモクラインです。水温が大きく変わる層に入ると、一気に冷たく感じました。
当時のメモには「15℃くらい」と残しています。正確な最低水温を確認できる記録はありませんが、上の水温との違いははっきり感じました。
この日は雨も降っていて、水の中だけでなく陸上でも肌寒さがありました。私はドライスーツで来てよかったと思っています。一緒に参加したウェットスーツの方は、かなり寒そうに見えました。
どのスーツが合うかは、潜る時期や深さ、装備、本人の寒さへの強さによって変わります。参加前には、水面付近の水温だけでなく、予定している深さの水温や、休憩中の防寒も含めてショップへ相談すると準備しやすいと思います。
高所潜水SPで確認した計画と器材のこと
泳いでいる感覚は海と大きく変わらなくても、潜る前に考える条件には違いがありました。ここでは、今回の受講で意識したことに、公式情報を添えて整理します。
高所への順応と、NDLを含めた計画を確認する
標高が高くなると、水面の気圧が低くなります。この違いが減圧計算に関わるため、高度に合わせた潜水計画が必要です。PADIも、アルティチュードの講習で潜水計画やダイブコンピューターの調整などを学ぶと案内しています。PADIの講習紹介
今回、私が特に意識するようになったのがNDLです。これは、その水深にとどまった場合に、減圧停止が必要になるまでの残り時間を示す目安です。残圧や体調、寒さも合わせて、潜水を終える判断が必要になります。
海と同じ深さだから同じ時間潜れる、とは考えず、高所への移動後に体を順応させる時間も含めて確認します。
浮上や安全停止の手順、潜水後の移動予定も、事前にインストラクターと共有しておきたい内容です。今回の水面付近ではSUPやウィンドサーフィンをする人もいたため、ほかの利用者との接触にも注意が必要だと感じました。
ダイブコンピューターの高度設定は、機種ごとに確認する
私のダイブコンピューターは、高所用に手動で設定を変える必要がありました。操作自体は設定を変更する程度でしたが、初めてだったので、どの項目を変えるのかが不安でした。
高度への対応は機種によって異なります。自分の機種の取扱説明書で、手動設定が必要か、どの高度区分を選ぶのかを確認してください。
例えばSuunto Oceanの公式説明書では、高度区分を選択する仕様になっています。また、新しい高度へ移動した後は、潜水前に少なくとも3時間休息して順応することが推奨されています。設定だけでなく、移動から入水までの予定も確認する必要があります。Suunto Ocean公式ユーザーガイド
私が普段使っている機種の使い心地は、Suunto Oceanの使用レビューにまとめています。高度設定などの仕様は、購入・使用する機種の最新の公式説明書で確認してください。
ウエイトは約2kg減らしたが、量は装備に合わせて確かめる
今回の私は、海で使っていたときよりウエイトを約2kg減らしました。
海水は淡水より密度が高いため、ほかの条件が同じなら海水のほうが浮きやすくなります。一方、必要なウエイトはスーツなどの装備によっても変わります。PADI:淡水と海水の違い
「約2kg減」は、今回の私の装備での話です。同じ本栖湖でも、全員が同じ量を減らせばよいとは言えません。自分の装備で適正な重さをインストラクターと確認してください。
今回の支払いは42,130円|講習・申請・ツアーの内訳
| 項目 | 支払額・利用内容 |
|---|---|
| 高所潜水SP講習料 | 8,800円 |
| 申請料 | 8,030円 |
| ツアー代 | 25,300円 |
| 器材レンタル | 利用なし |
| ツアー移動の交通費 | 別途支払いなし |
| 記録している支払いの合計 | 42,130円 |
講習料と申請料だけなら16,830円ですが、今回はツアー代を含めて約4万2千円かかっています。受講を検討するときは、講習の表示価格にダイビング代・申請料・レンタル代が含まれるかを確認すると、総額をつかみやすいと思います。
なお、自宅から集合場所までの交通費や食事代は、このメモでは集計していません。今回の金額は私が参加したツアーの実例で、ほかのショップの料金を示すものではありません。



受講してよかったのは、湖で潜ることが次の選択肢になったことです。
気になっていた場所を、実際に水中から見られました。
本栖湖を勧めたいのは、淡水魚や地形を見てみたい人
私は、次のような目的がある人に本栖湖の話をしたくなりました。
- ブラックバスなど、淡水魚を水中から見てみたい
- 沈木や水草のある景色を眺めたい
- 富士山の近くならではの溶岩地形に興味がある
- 海以外にも、潜りに行く場所を増やしたい
一方、私が今回見た範囲では、カラフルな魚が次々と現れる華やかさは控えめでした。沈木の形や水草、湖全体の雰囲気を楽しめるかで、印象は変わりそうです。透明度や生き物との出会いも、当日の条件に左右されます。
受講を考えるときは、経験本数だけでなく、次の状態もショップへ伝えると相談しやすいです。
- 前回潜ってからどのくらい空いているか
- 中性浮力やフィンワークに、どんな苦手があるか
- 使用するスーツに慣れているか
- 高度設定を確認したいダイブコンピューターの機種
次はブラックバスを見たい。潜りたい場所がまた増えた
本栖湖で潜ってみて、海と同じダイビングでも、眺めたくなるものが違うと分かりました。
薄暗い場所に残る沈木、水草の花、木の周囲にいる魚。ブラックバスは見逃しましたが、湖の景色そのものが面白かったです。その一方で、泥を巻き上げない泳ぎ方や、久しぶりのドライスーツでの浮力調整は、今後も練習したい課題として残りました。
今は北海道の支笏湖など、ほかの湖のダイビングにも興味があります。高所潜水と淡水ダイビングを同じ意味で扱わず、それぞれの場所の条件を調べながら、行き先を増やしていきたいです。
本栖湖が気になったら、ショップに現在の経験と装備を伝えて、参加条件・講習内容・移動を含む日程・総額を確認してみてください。私のように「水中でブラックバスを見てみたい」から始まる挑戦もあります。








