高校を中退して引きこもっても、その後の進路がなくなるわけではありません。私は高校1年の夏から約1年間引きこもり、高校2年の春に中退しました。その後、高卒認定試験に合格し、同学年から遅れることなく18歳で大学へ進学しています。
ただし、高校中退が誰にとっても正しい選択だったとは言えません。また、高卒認定に合格すれば、すぐ大学へ入れるわけでもありません。私の場合、高卒認定の試験前には1日約8時間、大学受験期には約12時間勉強しました。
この記事では、約1畳のクローゼットで過ごしていた私が、高卒認定、大学進学、編入、大学院、就職へ進むまでを、失敗も含めて紹介します。
- 高校中退後でも、高卒認定から大学を受験できる
- 高卒認定と大学入試では、必要な勉強の難易度が大きく違う
- 私は全科目を受験し、英語だけ2回目で合格した
- 高校中退歴は、大学の一般選抜では特に問題にならなかった
- 就職では、進路を立て直した経験をむしろ評価された
高校中退後でも、高卒認定から大学へ進学できた
私が高校へ入学してから現在までの流れは、次のとおりです。
| 時期 | 私の状況 |
|---|---|
| 15歳 | 高校へ入学 |
| 高校1年の夏ごろ | 学校へ行けなくなり、引きこもる |
| 高校2年の春 | 高校を中退 |
| 同年8月 | 高卒認定を全科目受験し、英語以外に合格 |
| 同年11月 | 英語を再受験して合格 |
| 翌々年2月ごろ | 大学の一般選抜を受験 |
| 18歳 | 東海大学海洋学部航海工学科へ入学 |
| 20歳 | 山口大学工学部機械工学科の3年次へ編入 |
| その後 | 大学卒業、大学院進学、インフラ業界へ就職 |

文部科学省によると、高卒認定は、高校を卒業できなかった人などについて、高校卒業者と同等以上の学力があるかを認定する試験です。合格者には、大学・短大・専門学校の受験資格が与えられます。
ただし、高卒認定に合格しても「高校を卒業した」という扱いにはなりません。私は大学へ進学することまでを前提に、高卒認定を選びました。
制度や現在の受験科目は変更される可能性があるため、受験を検討する場合は、文部科学省の高等学校卒業程度認定試験ページを確認してください。
高校1年の夏から学校へ行けなくなり、高校2年の春に中退した
勉強と野球部は好きでも、学校にはなじめなかった
私が高校へ入学したのは15歳です。勉強そのものは好きで、硬式野球部の活動も楽しんでいました。部活のチームメイトとの関係も悪くありませんでした。
一方で、クラスにはうまくなじめず、「部活は楽しいけれど、学校は楽しくない」と感じていました。
進学した高校も、私が心から望んで選んだ進路ではありませんでした。当時は、進学先から将来の職業まで、親の意見が強く反映されていることへ不満を抱えていました。
高校1年の夏ごろから精神的に動けなくなり、学校へ行けない状態になりました。医療機関も受診し、抑うつと診断されています。
高校中退後の進路を自分で設計し、親へ説明した
高校2年の春、私は高校を中退しました。
中退直後に強かったのは、後悔よりも安心感と解放感です。このまま学校へ通い続けていたら、さらに精神的に折れていた可能性もあると、現在は考えています。
もちろん、不安がなかったわけではありません。大学受験に失敗すれば、高校卒業という学歴もなく、何者にもなれないという怖さがありました。
その一方で、「ここから自分で進路を作ってやる」という気持ちも強く持っていました。
高校を辞める前には、高卒認定を取得し、その後に大学を受験する進路を自分で考え、親へ説明しました。衝動的に辞めたというより、自分が納得できる人生へ進み直すための中退でした。
約1畳のクローゼットで過ごした引きこもり生活
昼前に起き、YouTubeを見て午前4時ごろに寝ていた
引きこもっていたと感じる期間は、高校1年の夏から高校2年の夏までの約1年間です。
当時は部屋のクローゼットへ布団を敷き、約1畳ほどの空間を生活場所にしていました。
昼前に起きて、YouTubeやアニメを見る。夕方ごろに塩むすびを4つ作り、そのうち2つを食べ、ペットボトルへ水を補充する。勉強するときは、YouTubeの講義動画を見る。それ以外の時間は、将棋やゲーム、YouTubeなどで過ごし、午前4時ごろに寝る生活でした。
家族から声をかけられることはありましたが、自分から会話することはほとんどありませんでした。
ホザね当時は強い悲しみが続くというより、基本的に何も感じない虚無状態でした。好きなYouTubeチャンネルを見る時間が、数少ない心の支えでした。
何も感じない状態でも、1日約2時間は勉強していた
生活リズムは崩れていましたが、勉強自体は嫌いではありませんでした。そのため、引きこもり始めの時期も、1日約2時間はYouTubeの講義動画を見ていました。
最初から8時間、12時間と勉強できたわけではありません。勉強時間を増やすまでには時間がかかりましたし、高卒認定では何をどこまで勉強すればよいのかも分かりませんでした。
「引きこもりながら毎日勉強していた」と書くと、計画的に努力していたように見えるかもしれません。しかし実際には、昼夜逆転と虚無感の中で、分かる範囲の講義動画を見ていただけです。
親の価値観ではなく、自分が納得できる人生を選びたかった
家族からは「病気ではないのだから」と言われたこともありました。しかし当時の私には、親の経験や常識、世間体の範囲で進路を決められているように感じられ、言葉が響きませんでした。
私が不安だったのは、高校を辞めることだけではありません。このまま親の言うとおりに進み、自分が納得できない人生になることも怖かったのです。
ずっと親元で引きこもるわけにはいきません。自立して就職するためには、大学へ進むことが最も現実的だと考えました。
当時の原動力は、希望だけではありません。「ここから成り上がりたい」という負けん気や、親の常識の外へ出たいという反発心もありました。
負の感情に頼ることを、すべての人へ勧めるつもりはありません。ただ、少なくとも当時の私にとっては、何も感じない状態から動き出すための推進力になりました。
高卒認定を選んだのは、地域に定時制・通信制の選択肢がなかったから
インターネットで高卒認定を知った
高校中退後の選択肢として、高卒認定を知ったきっかけはインターネットでした。
当時住んでいたのは田舎で、身近に通える定時制高校や通信制高校がありませんでした。また、当時の私には「別の高校へ入り直したくない」という変なプライドもありました。
そこで、高卒認定を取得し、大学進学を目指す道を選びました。
高卒認定だけが正解だったわけではありません。現在ならオンライン中心の通信制高校など、地域に関係なく選べる可能性もあります。私が受験した当時の環境と、現在利用できる選択肢は分けて考える必要があります。
単位免除なしで全科目を受験した
私は高校で取得した単位による科目免除がなく、高卒認定の全科目を受験しました。
勉強方法は基本的に独学です。塾や通信講座は使わず、YouTubeの講義動画と、各教科で見つけた一番やさしそうな参考書を使いました。
高校1年の内容から、ほぼすべてやり直す状態です。科目数が多いうえ、試験範囲や必要な難易度、どの教材を選べばよいのかも分からず、かなり苦労しました。
試験前には、1日約8時間勉強しました。特別な継続術があったわけではありません。悔しさや不安を抱えたまま、黙々と進めていました。
8月は英語だけ不合格、11月の再受験で合格した
高校2年に当たる年の8月、私は高卒認定の全科目を受験しました。
結果は、英語以外の科目に合格。英語だけが不合格でした。
英語は、試験範囲と難易度がつかめず、どの単語を覚えればよいのかも分からない状態でした。ほかの科目に合格できても、すべての必要科目を合格しなければ大学進学へ進めません。
11月に英語だけを再受験し、2回目で合格しました。
一度不合格になったら、すべて受け直す必要がありますか?



私は1回目に合格した科目を再受験せず、英語だけを受けました。現在の科目合格や免除の扱いは、文部科学省の受験案内で確認してください。
高卒認定と大学受験の難易度には大きな差があった
宮城の予備校へ通い、1日約12時間勉強した
高卒認定へ合格した後は、宮城県の予備校へ通い始めました。そこで大学や学部を調べ、大学受験の勉強を進めました。
私は、就職するためには大学へ行く必要があると考えていました。ものづくりに関わり、その中でも船や飛行機のような少し珍しい分野を学びたいという希望もありました。
高卒認定試験と大学入試では、難易度がまったく違いました。
高卒認定で高校卒業程度の学力を認定されても、希望する大学の入試問題を解けるとは限りません。私の場合、大学受験期は1日約12時間勉強しました。
高卒認定の勉強を始めた段階では、高校1年の内容から学び直していました。そこから約1年半で大学入試へ対応するのは、かなり厳しかったです。
一般選抜で受験し、18歳で東海大学へ進学した
大学は一般選抜を中心に受験しました。面接は基本的になく、高校中退の理由を細かく説明する機会もありませんでした。
高卒認定であること自体が不利だったとは感じていません。大変だったのは経歴よりも、短い期間で大学入試に必要な学力を身につけることでした。
翌々年の2月ごろに大学を受験し、18歳で東海大学海洋学部航海工学科へ入学しました。浪人せず、同学年と同じ時期に大学へ進学できたため、年齢差は気になりませんでした。
高卒認定合格者は、制度上、大学入学資格の対象に含まれます。ただし、出願条件や必要書類は大学・入試方式によって異なる可能性があります。志望校の募集要項を必ず確認してください。
大学進学後、人との関わりと世界の広さを知った
長く人と関わらなかったため、友人を作るのに苦労した
大学へ進学できても、すぐにすべてがうまくいったわけではありません。
長い期間、人とほとんど関わっていなかったため、友人関係を作るのには苦労しました。授業へ出席できても、自分から誰かに話しかけ、関係を続けることは別の難しさがあります。
一方で、大学には一つの分野へ深く打ち込む人が大勢いました。
当時の私は「周囲は変人だらけだ。世界は広い」と感じました。ここでいう変人は褒め言葉です。周囲が驚くほど専門分野や趣味へ夢中になっている人を見て、「自分もこんな変態になりたい」と思いました。
高校のクラスになじめず、狭い世界しか知らなかった私にとって、大学で出会った人たちは、世の中にはさまざまな生き方があると教えてくれました。
乗船実習をきっかけに交友関係を広げられた
人との関わりが変わるきっかけになったのが、船に泊まり込む乗船実習です。
長時間を同じメンバーと過ごすことで、少しずつ会話が増え、交友関係を広げられました。
人付き合いが苦手だった自分を、意思の力だけで急に変えられたわけではありません。共通の目的を持ち、同じ場所で過ごす環境があったことが大きかったと思います。
成績1位の奨学金50万円や全国大会2位を経験した
東海大学では、学科成績1位に選ばれ、返済不要の奨学金50万円を受け取りました。
ほかにも、サークルの大会で全国2位、標本作成、乗船実習など、高校時代には想像していなかった経験ができました。アルバイトをせずに2年間生活し、船に関する勉強へ集中できたことも大きな経験です。
高校中退時に恐れていた「何者でもなくなる」という未来とは、少しずつ違う方向へ進み始めました。
学びたい分野を求め、山口大学へ編入した
東海大学には2年間在籍しました。大学自体に不満はありませんでしたが、学科改編によって、希望していた造船を学べなくなりました。
そこで編入試験を受け、20歳で山口大学工学部機械工学科の3年次へ編入しました。
山口大学を卒業した後は大学院へ進学し、研究活動や学会発表も経験しました。その後、インフラ業界へ正社員として就職し、設計・施工管理の仕事に携わりました。
就職では、高校中退や高卒認定の経歴を不利に感じるより、進路を立て直して大学・大学院へ進んだ過程や、大学での経験を評価されたと感じています。
これは、すべての会社や採用方法に当てはまる話ではありません。あくまで私が経験した就職活動での結果です。
高校中退は、現在の自分から見れば必要な選択だった
現在の状態から振り返ると、高校を中退した判断は、私にとっては正解だったと考えています。
そのまま通い続けていれば、精神的にさらに折れていた可能性があります。高卒認定と大学進学を選んだことに、後悔はありません。
ただし、「高校がつらいなら、すぐ辞めた方がよい」と伝えたいわけではありません。
私の場合は、高卒認定から大学へ進む計画を考え、親へ説明したうえで中退しました。それでも、英語の不合格、膨大な勉強時間、人間関係の作り直しなど、辞めた後にも多くの苦労がありました。
高校中退はゴールではなく、進路を選び直す一つの分岐点でした。
私にとって必要な選択だったことと、誰にでも同じ選択を勧められることは別です。
高校中退から約10年が経過した現在は、一人暮らしと経済的な自立を経験し、インフラ業界での仕事、研究・学会発表、転職、ブログ、NISAによる資産形成にも挑戦してきました。
ダイビング、ハンググライダー、アメリカンフットボール、温泉の厨房での経験など、趣味や活動も増えました。恋人もでき、引きこもっていた頃には考えられなかったほど、人との関わりが広がっています。
現在は、27歳で作ったバケットリストをもとに、やってみたいことへ一つずつ挑戦しています。
当時の私が持っていた、負の感情まで推進力へ変えるエネルギーを、今は少しうらやましく感じることもあります。
高校を辞めても選択肢はなくならない
高校へ行けないと、「大学にも就職にも進めない」と感じるかもしれません。しかし、高校中退後にも複数の選択肢があります。
- 高卒認定を取得して大学・短大・専門学校を受験する
- 通信制高校へ転入・編入する
- 定時制高校へ進む
- 高等専修学校など、大学入学資格につながる課程を調べる
- 学校や自治体、民間の相談機関へ相談する
私が高校生だった頃は、田舎に住んでいたこともあり、身近な選択肢がほとんど見えませんでした。現在はオンラインで学べる学校や相談方法もあるため、私と同じ経路だけに絞る必要はありません。
何かしなければと思っても、行動する気力がありません。



行動したくても気力が出ない感覚は分かります。すぐに学校や予備校へ行かなくても、まずは自分の感情を否定せず、やりたいことを紙やスマートフォンへ書き出すところから始めてみてください。
「大学へ行きたい」「親元を離れたい」「ものづくりを学びたい」のように、現実的かどうかを考えず書き出します。その中から、気になる進路を一つ調べるだけでも前進です。
ただし、心身の不調が続いている場合、一人で無理に進路を決める必要はありません。医療機関のほか、自治体などの相談窓口を利用する選択肢もあります。厚生労働省は、全国の相談先をひきこもりVOICE STATIONで案内しています。
よくある質問
高校中退後でも大学を受験できますか?
高卒認定などによって大学入学資格を得れば、大学を受験できます。
私は高校2年の春に中退し、高卒認定へ合格した後、一般選抜で東海大学へ進学しました。大学ごとに出願条件や必要書類があるため、志望校の募集要項は個別に確認してください。
高卒認定は高校卒業と同じですか?
同じではありません。
高卒認定は、高校卒業者と同等以上の学力があることを認定し、大学などの受験資格を得るための制度です。高卒認定へ合格しただけでは、高校を卒業したことにはなりません。
私はその点を理解したうえで、大学へ進学することまでを前提に受験しました。
高卒認定は大学受験で不利になりますか?
私が一般選抜を受けた際は、高卒認定であることが不利だとは感じませんでした。基本的に面接もなく、学力試験が中心だったためです。
ただし、入試方式や大学によって条件は異なります。総合型選抜や推薦を含め、必ず志望校の最新の募集要項を確認してください。
引きこもりながら独学で合格できますか?
私の場合は、YouTubeの講義動画と各教科のやさしい参考書を使い、独学で高卒認定へ合格できました。
ただし、単位免除なしで全科目を受けたため、科目数の多さと教材選びに苦労しました。特に英語は1回目で不合格になり、11月に再受験しています。
独学が合うかどうかは、現在の学力や心身の状態、質問できる人の有無によって変わります。私が一人で進めたことを、誰にでも同じように勧めるつもりはありません。
まとめ|すぐ動けなくても、やりたいことを書き出すところから始められる
私は高校1年の夏から約1年間引きこもり、高校2年の春に中退しました。
当時は約1畳のクローゼットに布団を敷き、昼前に起きてYouTubeを見て、午前4時ごろに寝る生活でした。それでも、親の価値観ではなく自分が納得できる人生へ進みたいと思い、高卒認定から大学進学する道を選びました。
高卒認定は全科目を受験し、1回目は英語だけ不合格。11月に再受験して合格しました。その後は宮城の予備校へ通い、18歳で東海大学へ進学。山口大学への編入、大学院、研究、学会発表、インフラ業界への就職まで進めました。
高校を中退したり、引きこもったりしても、その後の選択肢がなくなるわけではありません。
時間はかかります。行動したくても、気力が出ない時期もあります。それでも、自分の感情に素直になり、やりたいことを書き出すところからなら始められます。
当時の私と同じように先が見えない人へ、意外と選択肢はあるし、時間をかけながら少しずつ前へ進めると伝えたいです。


